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リウマチ膠原病内科

リウマチ膠原病内科とは

リウマチ膠原病内科画像

関節リウマチを含めた膠原病などの患者さんを対象とした診療科です。膠原病とは、何かしらの原因によって自己免疫反応が働いてしまい、その結果、関節、筋肉、内蔵などに障害が現れている病気の総称です。通常、免疫とは外敵(細菌やウイルスなど)を攻撃して自分の身を守る様に働いてくれる力ですが、何らかの拍子に自分の体を攻撃してしまうようになることがあります。この状態が自己免疫疾患です。単一の臓器を攻撃するような自己免疫疾患(例:甲状腺に対する橋本病や腸に対する炎症性腸疾患など)はそれぞれの臓器の専門家が治療しますが、リウマチ膠原病内科では関節や筋肉、皮膚、腎臓、肺、心臓、腸、眼、脳など様々な臓器に障害がおこる疾患を治療していきます。

具体的には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織病、多発性/皮膚筋炎、血管炎症候群などの古典的な膠原病をはじめ、ベーチェット病、成人型スチル病、リウマチ性多発筋痛症といった疾患が代表的です。

なお膠原病には、発熱、関節の腫れや痛み、食欲低下・体重減少、筋力の低下・筋肉痛、貧血、リンパ腺の腫れ、レイノー現象、発疹など共通した症状があります。ただ、これらは同疾患でなくとも例えば風邪などでも見られます。

また、リウマチ因子陽性と言われた、抗核抗体陽性と言われた、というような、症状はないけれどリウマチや膠原病の検査が陽性だった場合にもご相談ください。
ちなみにリウマチ因子は病気に関係なく人口の5%で陽性になりますし、抗核抗体は健康な女性の20%くらいで陽性です。

主な膠原病

関節リウマチ

手指・手首・足指・足首・肘、肩などの関節で腫れや痛みなどがみられる病気です。無治療では関節破壊が進行して関節が変形してしまうため、基本的には積極的な治療を行います。

関節の腫れが同時に複数の箇所(左右対称の関節など)に起こると関節リウマチが疑われます。男性よりも女性が発症しやすく、女性患者は男性患者の3~4倍とも言われています。

関節リウマチが疑われる場合、血液検査(CRP:炎症の程度の指標、抗CCP抗体:関節リウマチを発症しやすい体質)や骨の変化などを確認する画像検査(レントゲン、超音波検査など)を行うなどして診断をつけていきます。

治療について

関節リウマチの治療の目標は現在および将来にかけて問題なく日常生活がおくれることです。治療の基本は抗リウマチ薬による薬物療法になります。
関節リウマチは関節が痛むことと関節破壊により関節が変形してしまうことが問題です。両者により日常生活動作が困難になってしまいます。痛みの原因は関節に炎症が起こっている場合と関節が破壊されたことによる場合に大きく分かれます。関節が破壊されたことによる痛みと関節変形によって日常生活動作が困難になることは薬剤で元に戻すことはできません。鎮痛薬で痛みを抑えたり、手術で変形をなおしたり、人工関節にしたりすることで対応します。
抗リウマチ薬は免疫を抑制することで関節の炎症を抑えてくれます。結果として痛みがなくなり、関節破壊の進行を止めてくれます。ただし痛みが無くなっても触診や血液検査で関節の炎症が残っていることがあります。この場合は将来の関節破壊を止めるために治療を強めることがあります
抗リウマチ薬は第一選択薬としてメトトレキサートを使用します。効果が充分でない場合には、より効果の高い生物学的製剤の使用を検討していきます。また副作用で使用しにくい場合はその他の抗リウマチ薬を用いたり、炎症の強い時期に一時的にステロイドを用いたりします。

全身性エリテマトーデス(SLE)

この疾患は抗核抗体が陽性になったうえで、皮膚、関節、腎臓、脳などに炎症を起こす疾患です。炎症を起こす臓器は患者さん毎に様々です。この疾患も免疫が自分の体を攻撃しています。原因は不明ですが、海水浴等で直射日光を浴びた後に発症したり病気が悪化したりする場合が一定数あるので、紫外線を避けることは重要です。

同疾患を発症すると、発熱や倦怠感といった全身症状のほか、皮膚症状(頬から鼻にかけてできる赤い発疹)、関節に腫れや痛み、手足のむくみ、うつ状態やけいれんなどの神経症状、たんぱく尿・血尿といった腎障害、息切れといった症状が出るようになります。

患者さんは女性が多く、月経のある年齢層(20~40代)の方が発症しやすいのが特徴で、男女比は1:9で圧倒的に女性によく見受けられる病気です。

治療の基本はステロイドになります。ただしステロイドを少しでも減らすために各種免疫抑制剤を使用します。

全身性強皮症

全身性強皮症は、皮膚が硬くなること(線維化)、抗核抗体が陽性になること(90%程度で陽性)、小さな血管が障害されること(血管障害)を特徴とする疾患です。皮膚が硬くなる変化は指先から始まります。皮膚が硬くなる範囲によりびまん皮膚硬化型(肘・膝よりも体の中心に近い部分まで硬くなる)と限局皮膚硬化型(肘・膝よりも遠い部分だけ硬くなる)に分かれます。紛らわしいですが、限局性強皮症(斑状強皮症や線状強皮症など)とは別の疾患になります。

発症間もなくは、レイノー現象(寒さや緊張をきっかけに手の指や足の趾の血流が悪くなって、色が白→紫→赤と変化する現象)や手指が腫れてパンパンになるといった症状がみられます。レイノー現象が強いと指先に潰瘍を作り、とても痛みます(指尖潰瘍)。
限局皮膚硬化型では皮膚硬化の範囲は概ね指までのことが多いですが、びまん皮膚硬化型では発症から数年以内に皮膚硬化が体の近位部まで進みます。数年でピークを迎えたあとはゆっくりと萎縮が進み皮膚は柔らかくなっていきます。
皮膚以外に内臓の障害も出現します。肺の線維化で間質性肺炎(空咳や息切れ)、肺動脈の線維化で肺高血圧症(息切れや失神)、食道の線維化で逆流性食道炎(胸やけ)、腎臓の動脈の収縮で強皮症腎クリーゼ(急激な高血圧、頭痛)、下部消化管の線維化(便秘や腸閉塞)など患者さんによって様々です。

強皮症も発症者は圧倒的に女性が多く、男女比は1:10とも言われており、40代が最も発症しやすい世代と言われています。

根本的な治療としては(間質性肺炎がある場合)骨髄移植の有効性が示されていますが、簡単に行える治療ではありません(保険適応もありません)。レイノー現象を抑えたり血流をよくする薬剤、肺の線維化を遅くする薬剤、肺の血圧を下げる薬剤、胃酸の分泌を抑える薬剤、血圧を上昇させる物質を抑える薬剤、腸管の動きをよくする薬剤などを個々の患者さんの病態をみながら使用していきます。一部免疫抑制の有効性が示されている病態もあります。

多発性筋炎・皮膚筋炎

多発性筋炎は、筋肉が炎症を起こすことで筋肉が破壊され、それによって左右対称でみられる筋力低下(肩・腕・腰・太もも 等)を起こす疾患です。さらに筋炎だけでなく、まぶたに紫紅色斑(ヘリオトロープ疹)、あるいは肘、膝、指などの関節の伸側の紫紅色斑(ゴットロン徴候)もあると皮膚筋炎と診断されます。
いくつか特徴的な自己抗体が知られており、それぞれ筋肉や皮膚だけでなく間質性肺炎や悪性腫瘍の合併が特徴になります。

  • 抗ARS抗体(抗Jo-1抗体を含む):関節炎や間質性肺炎を合併することが多い。間質性肺炎は治療すると改善するが、何度か増悪を繰り返して徐々に進行することが多い。
  • 抗Mi-2抗体:皮膚症状が強く出ることが多いが、あまり内蔵病変は出ない。
  • 抗TIF1-γ抗体:悪性腫瘍を合併することが多い。
  • 抗MDA5抗体:筋症状が少ない。急速進行性の間質性肺炎を合併する。
  • 抗SRP抗体、抗HMGCR抗体(保険で測定できない):筋症状が強く、治療にうまく反応しないことがしばしばある。皮膚症状、内蔵病変は少ない。

特に抗MDA5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎は治療抵抗性のことも多く、強力な治療が必要になります。通常は入院加療となります

混合性結合組織病

これは全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、強皮症の3つの疾患の特徴を少しずつ持つものの、この3つの疾患には当てはまらないという疾患です。レイノー現象もしくは指の腫れが必発で、また、抗U1-RNP抗体が陽性です。肺高血圧症、無菌性髄膜炎、三叉神経痛を起こすことが特徴的です(必ず起こるわけではありません)。

治療は罹患臓器とその重症度によって変わりますが、概ね強い治療を必要としないことが多いです。ただし肺高血圧症をはじめ強力な治療が必要になる場合もあります。また非ステロイド性抗炎症薬(特にイブプロフェン)の使用をきっかけに無菌性髄膜炎を起こすことが知られており、解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンを用いた方が安心です。

仁科医院
院長
副院長
仁科 直
仁科 範子
診療内容
内科 小児科 リウマチ膠原病内科
電話番号
026-241-3730
所在地
〒381-0045
長野県長野市桐原1-28-17
最寄駅
桐原駅 徒歩3分

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